進学か就職か迷って結局就職した話

就活したこと無いAdvent Calendarの12/10分の記事.
更新が遅れて申し訳ないです.


就活したこと無いACですが,僕は「就活したことある」し,さらに「就職してます」.
ただ,進学を考えたこともあるということで,そのような迷いを持っている方々の一助になればと思い筆を取らせていただきました.

僕のバックグラウンドは以下のとおりです.

  • 工学部情報学科 画像処理系の研究室に所属
  • 修士

僕は修士1回の3月に現在働いている会社から内定をいただきました.
内定先は企業の研究所で,今年の4月から研究員として働いております.

研究職を志した理由.

僕が研究職に興味を持った理由は様々ですが,最初は学部の時に所属していた研究室のスーパー助教や先輩,同期と送った研究生活が思いの外良かったことがあります.研究自体はなかなか納得のいくものにはなりませんでしたが,何よりその尊敬するスーパー助教や博士の先輩が選んだ道という点に興味を持ち始めました.
一方でそのような凄い人々と自分を比較してしまい,「ちょっと興味あるけど俺には無理やわー」と初めから諦めていました.

学部を卒業後,修士課程に進学.大学院では学部の頃と別の研究室に配属されましたが,これが僕が「研究者を目指す」というカードを切る上で大きなターニングポイントとなりました.

新しい研究室の教授はそれまで担っていた役職の任期を終え,ちょうど時間のあるタイミングであったため,部屋にいる学生を教授室に呼んで研究のディスカッションに加えて日本や世界の情勢,エネルギー問題など盛りだくさんのお話をみっちり2〜3時間行っていました.研究室在室率が高かった僕はそのイベントに招待されることも多く,修士1回の間はそれはとてもエキサイティングな日々を過ごしていました.


ただ,そのような会話の中で研究職の魅力,さらには教授の持つ膨大な知識や頭の回転の良さに触れ,漠然と研究者になることに対する憧れを持ち始めました.


そして決め手となったのは修士1回生の3月,ある大規模なプロジェクトの最終報告回に参加したことでした.(教授はそのプロジェクトの3本柱の一つの柱長を担っていたため,我々もその報告会に参加しました)そこで見たのは来る未来に起こりうる問題に対し,それを解決するための取り組みの成果を発表する研究者の姿でした.これが僕には最高にカッコよく見え,今まで持っていた漠然とした憧れがクリアになり,ここにいる人たちと同じ道を歩きたいと思うようになりました.

このことから,僕が研究職を選んだ大きな理由は「魅力的な研究者が周囲にたくさんいたから」だと言えるかと思います.

就活の話

僕は冒頭でも書いたように就活もしてます.
研究者になりたいなーという思いがクリアになる前,世間は就活戦線まっただ中だったわけで,さすがに就職はせねばなーと色々なセミナーに顔を出していました.


分野はメーカーからコンサルまで様々でした.が,どれもこれもいまいちピンとこない.やってる仕事の内容で面白そうなものはいくつかあったのですが,何より「この人すごい!」って思える人に全然出会えなかったのが大きかったかと思います.業界によっては直感的に「合わない!」って思うところもありました.加えてわざわざ大阪まで出かけて(キラキラしているらしい)先輩社員のよくわからない話を聞いてトボトボ帰ってきた日にはもう時間を無駄にしたなーという徒労感に襲われることも多々ありました.(ただ,全く異なるバックグラウンドの人の考え方を知るという意味では面白い経験であったと思います.)


で,紆余曲折を経て,仕事の内容も人も興味が惹かれたのがやはり研究所系でした.就活を本格的に始めたのは1月くらいでしたが,2月くらいには研究所系を中心にエントリーシートを書くなりなんやかんやしてました.で,その後3月に件のプロジェクトの報告会があって「やっぱ研究職だ−」いう思いを固め,直後にド本命であった今の研究所に内定をいただいて僕の就活は終了しました.

博士進学の話

で,研究者に興味あるのはわかったけど,なんで就職?博士は行かないの?と思った方,多くおられると思います.もちろんその2択は通過いたしました.

僕は研究者になりたいなーという思いはあったものの,M1の冬で成果と呼べるものがひとつも手元にありませんでした.今思うとそんな状況でよく研究者を志したなーと思います.
知っての通り博士課程は最低3年はかかり,さらに上は天井知らず.M1の冬の段階で目立った成果やテーマが手元にない状態で博士に進学するにはかなり胆力のいるものであることは明らかでした.
さらに僕の両親は晩婚だったため既に退職しているという家庭環境もあり,就職しても研究ができることを考えるとそちらのほうが良いだろうという結論にいたり,就職を選びました.


内定をいただいてからは一層研究にバリバリ取り組むようになり,秋のはじめにはひとつ素敵な成果も出すことができました.おかげで研究者として生きていく自信がほんの少しだけ出ました.ただ,その成果があったがため,「やっぱり博士に進学しておくべきだったかなー」と思うことも多かったです.そこはなんとかマリッジブルー的なものだということで抑えたのですが.

そのような話を教授にちらっとした時,「どこに行くかではなく,そこに行って何をしたかのほうが大切」というお言葉をいただいたのも大きかったかと思います.

社会人ドクターの話

で,結局博士号はどうするの,という疑問もあるかとは思いますが,今のところは社会人ドクターとしてもう一度入学することを考えています.ただ,昨今社会人ドクターとして研究するのは普通に博士課程に進学するよりも何倍も努力が必要であることは事実です.ぞっとします.
(実際に社会人ドクターを体験された方もこのACを書くことになると思うのでその記事を期待したいと思います.)

そのような状況ですが,幸運なことに今はもともと専攻していた分野とほぼ同じ分野の研究ができていますので,ひとまずこの環境で最善を尽くしたいと思っています.


あとがき

以上の経緯で,僕は進学か就職か迷い,結局就職をしました.


何かを選択するというのは本当に難しいですが,結局何がいいのか悪いのかなんて後になってみないとわからないので,しっかり悩んで選んだ後は開き直って頑張るのが良いと思います.僕は頑張ろうと思います.